研究課題/領域番号 |
07407033
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
門田 守人 大阪大学, 医学部, 教授 (00127309)
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研究分担者 |
三好 秀幸 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
大里 浩樹 大阪大学, 医学部, 助手 (10273682)
堂野 恵三 大阪大学, 医学部, 助手 (60283769)
梅下 浩司 大阪大学, 医学部, 助手 (60252649)
後藤 満一 大阪大学, 医学部, 助教授 (50162160)
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キーワード | ラット心移植 / ラット肝移植 / ドナー抗原提示 / 免疫寛容 / microchimerism / 胸腺 |
研究概要 |
平成9年度は、移植片の拒絶及び生着に関与する諸因子について胸腺に注目して検討した。臨床応用可能な免疫寛容誘導法の開発の方向性を模索するためには、実際の臨床例において偶発的に免疫寛容を得た症例を検討する必要があると考えられる。Starzlらは、肝移植後長期生存例の中に免疫抑制剤の中止後も拒絶反応が起こらず肝が生着している症例が存在することを報告している。田中らも生体肝移植後に感染などをきっかけとして免疫抑制剤を中止しても拒絶反応がおこらず免疫寛容が成立していると考えられる症例を経験している。移植後長期生存例には、移植片以外の組織にドナー由来細胞のmicrochimerismが存在することが知られており、移植片に対する寛容誘導とmicrochimerismとの関連性が注目されている。 そこで我々は、臓器移植後のmicrochimerismの推移を特に胸腺内に着目して検討した。DAからWSラットに心移植を行うと、約11日目に移植心の拒絶が観察される。この系において、移植前後に血中・胸腺・脾臓・肝臓におけるドナー細胞のmicrochimerismをPCR法を用いて検索したところ、胸腺内にのみ拒絶に先だってmicrochimerismの消失が観察された。Microchimerismの消失時期には、胸腺内で主にTh1 type cytokinesのuo-regulationが起こっており、またドナー特異的なpCTLの増加を認めた。一方、胸腺摘出ラット肝移植を行うと、肝移植片の生着日数が胸腺を持ったラットに比して優位に短縮した。 以上の知見から、移植片に対する寛容の誘導には胸腺内への抗原の移入が重要な役割を演じており、胸腺におけるmicrochimerismの維持が臨床応用可能な免疫寛容の誘導に極めて重要な因子であると考えられる。
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