本研究は、c-Ha-ras Tgマウス、p53ノックアウトマウス、レニン・アンジオテンシノーゲンTgマウスおよびラットなどのTg動物に、実験動物学研究者と、ユーザーである医学・創薬研究者との共同により、その動物に適応した動物実験システムを開発し、バイオサイエンスの為の合目的なモデル動物を確立する。また、実験動物学的には、必要な時に必要な動物数確保するための計画生産システムの確立、均一性と再現性を目指した遺伝的・微生物的品質統御、SPF化、生産に於けるDNAの解析技術、受精卵の凍結保存ならびに生殖工学的技術など、Tg動物実験動物化に関する普遍的なシステムを確立することにある。Tgマウスは一般的に繁殖不良で、実験動物化に当たっては、繁殖性を確保しながら、導入遺伝子以外の遺伝的背景を揃えることが必要である。平成7年度は、ヒト・プロト型c-Ha-ras遺伝子導入マウスの生産供給について検討した。 平成8年度は、経口生ワクチンの安全性試験への実用化研究のため、ポリオウイルスレセプター遺伝子を導入したトランスジェニックマウス〔IQI-TgPVR21(ヘテロ型)〕の、毎週120匹供給を目的に、その生産方式について検討した。このマウスの生産指数を7.5と見込み、バリア施設内にIQI(♂ワイルド型)1群(16匹)、IQI-TgPVR21(♀ホモ型)8群(16×8=128匹)を準備し、♀を♂の群に1週間毎に順次同居するロ-テーション交配方式を採った。その結果、8週後から毎週120匹以上の〔IQI-TgPVR21(ヘテロ型)〕の生産が行われ、これらを実用化研究に供給した。
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