研究分担者 |
河瀬 正利 広島大学, 文学部, 助教授 (30093743)
中山 勝博 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (20243420)
三瓶 良和 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (00226086)
山内 靖喜 島根大学, 総合理工学部, 教授 (70032612)
竹広 文明 島根大学, 汽水域研究センター, 助手 (60252904)
|
研究概要 |
4年のまとめ 島根大学に汽水域研究センターが7年前に設置され,本研究のテーマと一致していることから,センターの組織のもとで特に山陰汽水域の自然史と社会史の学際的・総合的な研究が以下のように進められた. 1. 中海・宍道湖の音波探査では汽水域動態観測システムが完成し,河口域の例としての江の川での観測も含めて汽水域の塩分躍層・塩水楔の動態観測システムが完成した.これによって汽水域の環境保全や水産振興にとってもっとも重要な貧酸素水塊の解消の問題に貢献できる見通しが得られた.底質の調査は主に農水省によるパイプ潮通し実験に関連して社会的にも焦点になった本庄水域で2年間の継続調査が行われ,別途行われた生態学的調査と比較検討され,大きな成果が得られた. 2. 山陰低湿地遺跡については島根大学構内遺跡,大学前の朝酌川遺跡,米子の目久美遺跡をはじめとして縄文,弥生時代から風土記時代にかけての汽水域の環境復元と人類史が総合的に検討され,また,境水道に面したサルガハナ遺跡の発掘調査を本研究において行い,縄文時代以降の海面変化についての詳しい復元がなされた. 3. 中国山地の鉄生産の歴史については未調査のたたら遺跡についての検討をおこなうとともに,製鉄遺跡の文献資料の収集が行われた. 4. 上記の研究を踏まえて汽水域研究センターでは島根大学内外の共同研究者との連携のもとで多様な共同研究と総合的な研究討論が日常的に行われており,とくに社会的な問題になっている中海干拓と淡水化事業に関連して本庄水域の将来の土地利用についての多面的な研究が進み,本研究グループはそのなかづ,中心的な役割を果たした.また,海面変動については汽水域がもっとも重要な研究フィールドであることを明らかにし,オランダで行われたIGBP-LOIC,神戸で行われたTechnoOcean1996,1998などの国際会議での発表を行った.
|