研究課題/領域番号 |
07451080
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
稲城 信子 (財)元興寺文化財研究所, 人文・考古学研究室, 主任研究員 (50106712)
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研究分担者 |
高橋 平明 (財)元興寺文化財研究所, 人文・考古学研究室, 研究員 (60261210)
吉井 敏幸 (財)元興寺文化財研究所, 人文・考古学研究室, 主任研究員 (40150148)
鬼頭 清明 東洋大学, 教授 (70000479)
岩城 隆利 (財)元興寺文化財研究所, 所長 (70072791)
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キーワード | 叡尊 / 戒律 / 西大寺 / 律宗 / 典籍類 |
研究概要 |
本研究は、西大寺に所蔵される典籍類の作成が主たるテーマである。中世以降、律宗寺院として中心的寺院であった西大寺は、律宗に関する大量の基礎資料を架蔵している。中でも文書・典籍類の量は圧倒的に多い。文書・典籍類をあわせると、総函数は100函以上ををはるかに越える。平成9年度までの調査結果によると、典籍類は86函であり、総点数は7500点以上となった。しかし、未だに未調査の文書・典籍類は、多く残されている。平成7〜9年度にかけて、典籍・文書・絵画などの総合的調査をめざしたが、初期に予測していたよりは、多量の資料が保管されていることが判明した。特に、近世・近代文書の量は計りがたい。 平成9年度までの調査結果によると、奈良時代〜現代にいたる広範囲に及び、その内訳は、奈良時代(19点)、平安時代(9点)、鎌倉時代(162点)、南北朝(329点)、室町時代(503点)、江戸時代(6314点)、明治(187点)、大正(19点)、昭和(12点)、ならびに中国の版経3点(南宋1点・明2点)である。その種類は、沸典・律宗関係聖教・密教関係聖教・神道(三輪)関係聖教・潅頂関係・法会、次第、法則類である。この中で圧倒的に多いのは、法会、次第、作法類である。西大寺所蔵の典籍類の特徴として、西大寺に伝来したものばかりでなく、般若寺・元興寺などの律宗系寺院や廃絶した寺院の典籍類が何等かの理由で本寺である西大寺に保管されるようになったものも含まれている。古典籍類の中には、叡尊が開版した戒律関係の資料も多く残されている。また、今回の調査により、その存在が確認できた資料(「聖徳太子講式」・「妻鏡」など)もみられる。このような未公開の典籍類の調査報告が行われることにより、広く学界に寄与するとともに日本の中世〜近代の歴史に新たな知見も展開されることになるであろう。
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