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1997 年度 実績報告書

化石タンパク質と化石DNAにもとづく絶滅生物の分子遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07454126
研究機関静岡大学

研究代表者

千葉 聡  静岡大学, 理学部, 助手 (10236812)

研究分担者 吉永 光一  静岡大学, 理学部, 教授 (70021954)
キーワード化石 / タンパク質 / DNA / PCR
研究概要

軟体動物殻体中に含まれるタンパク質を抽出し、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)により異なる分子量をもつタンパク質ごとに選別した。抽出したタンパク質は、特定のアミノ酸の部位でタンパク質を切断する性質を持つプロテアーゼを用いて切断し、得られた断片の長さの変異からタンパク質中のアミノ酸配列の変異を推定した。抽出を試みたのは、軟体動物の現生種(キサゴ、ホタテガイ、ワスレガイ、カキ)と化石種(トウキョウホタテ)である。
化石種のトウキョウホタテガイと現生のホタテガイのタンパク質の分子量で分けたタンパク質構成とその切断パターンを比較したところ、ほとんど一致しており、このことから続成作用の影響はすくなく、化石中に極めて良好にタンパク質が保存されてきたことが明らかになった。次に、含まれているタンパク質の比較から、これらの4種の系統の推定を試みたところ、カキとホタテガイが最も近く、キサゴが最も遠いという結果が得られた。これは、軟体動物で一般に予想される系統関係と一致しており、このことからタンパク質に基づいて、化石まで含めた系統関係の推定が可能であることがわかる。
次に長野県野尻湖層群の泥炭層から得た更新世の化石昆虫と、静岡県上土遺跡や大阪府の各地より得られた完新世の昆虫遺体(ガムシ類、ゴミムシ、ハムシ類)から、DNAを抽出し、PCR法によりミトコンドリア16SrDNAと核18SrDNAを増幅した。その結果、それぞれ約300塩基対のDNAの増幅に成功した。これらのうち18SrDNAの塩基配列を決定した結果、静岡から得られた化石昆虫のDNAは、現生のセマルガムシのDNAに最も近いことが分かった。このことから化石昆虫のDNAが増幅されたと考えられる。しかし、それ以外のものについては他の遺伝子の混入により、化石以外のDNAが増幅されたと考えられ、より効率的な抽出のためにはさらなる改善の余地がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Sunouchi N.: "Morphological stasis and phylogenetic velatiorship in tadpole shimps." Biol.Jour.Linn.Soc.61. 439-457 (1997)

  • [文献書誌] Yoshinaga,K: "Extensive RNA editing and possible dable-stranoled structures" Nucleic Acid Research. 25. 4830-4834 (1997)

  • [文献書誌] Yoshinaga,K: "Protection by Trehalose of DNA from radiation damage" Biosci.Biotech.Biochem.61. 160-161 (1997)

  • [文献書誌] Kapoor,M: "The chloroplastchil gene of the green alga Chlorella Vilgaris C-27 contains a self-spiking group lintion" Mol.Gen.Genet.250. 655-664 (1996)

  • [文献書誌] Chiba,S: "A 40000 year record of discontinuous evolution in island snail" Paleoliology. 22. 177-188 (1996)

  • [文献書誌] Chiba,S: "Ecdogical and morphological divergence and character displacement in Mandarins" Journal of Evolutionary Biology. 9. 277-291 (1996)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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