我々が立案した焼鈍用超高真空装置が完成し、基本性能の確認作業を行った。その結果、10^<-10>台の超高真空が得られることを確認した。次年度チャンバーを購入し、本格的実験にはいる。現在本年度購入した装置を用いて焼鈍実験を開始している。今年度は、我々が今まで、超高真空電子顕微鏡を用いて観察してきたシリコン(110)ウエハを試料として用いていた。電子顕微鏡用の試料と同じサイズの試料に円筒内をうがち、装置の中で清浄化し、さらに清浄なシリコンブロックに試料を挿入する。試料がシリコンに囲まれた状態で全体を長時間加熱した。まだ、試料および周りのシリコンブロックの温度に不均一な所があり、改良を加えるとともに、加熱時間等のパラメータを変えての実験を進めている。この実験の中で、今回(7 7 17)面という高指数面がかなり狭い範囲ながら新たに見いだされた。この面は従来我々の研究で見つかっているよりもさらに高指数の面である。しかしながら、先に述べたように、まだ試料の焼鈍時間が十分に長いかどうかという点で問題点があり、この面も含めて、今まで見いだされている様々な高指数面が熱平衡状態であるかどうかは次年度の課題として残されており、さらなる実験を現在行っているところである。また、高指数面の1つである(5 5 12)面や(hhm)面については、900℃程度の高温で構造相転移する事を以前見いだしたが、STM観察やREM観察からラフニング転移であることを結論した。これら高指数面の構造は、ステップ配列と密接に関係していること考えられることから、この構造相転移とステップ配列の変化の関係についての詳しい研究を現在遂行している。また、来年度購入予定のチャンバーの設計を並行して行っている。
|