研究概要 |
1.現有の真空排気システムに小型カソード、反応性ガス導入のモジュレーションのための精密ガスコントローラーを取り付け、モジュレーションスパッタリングが可能となるようにした。また、隔膜型圧力計を取り付け、ゲッター作用による反応性ガス消費の状態を調べることができるようにした。 2.組成の精密制御のための重要な要因であるプロセスの応答性について調べた。実験には、Ti(99.9%)ターゲットを用いた。O_2分圧は放電開始後最小値を示した後時間とともに大きくなり、Ti発光強度は時間とともに小さくなることが観察された。放電開始後プロセスが平衡に達するまでの時間は、O_2に対する排気速度が大きくした場合およびAr/O_2流量比を大きくした場合のいずれにおいても長くなった。 3.純度が99.98%のTiターゲットを使用し、Ar流量を一定にし、O_2流量をコンピューターで所定の値に制御することにより組成変調型多層膜を形成した。得られた薄膜の組成はオージェ分析法で評価した。まずプロセスの機構を観察するために、O_2流量を変化させたときのTiの発光強度,膜厚,チャンバー圧変化を測定した。チャンバー圧は、スパッタリングにより発生したTiによるゲッタリング作用のために、O_2流量を増加させた場合にO_2流量の変化からずれることが観察された。同様に、O_2流量が一定でもチャンバー圧が増加する場合があること、また、O_2流量を減少させた場合にもチャンバー圧の変化がO_2流量の変化からずれることが観察されたこれらを考慮してO_2流量の変化のパターンを作成し膜形成実験を行った。得られた薄膜は、比較的直線的な組成傾斜となっていることがオージェ分析法による深さ方向の組成分析であきらかとなった。分析結果からO_2/Ti<0.5のときの膜厚とO_2/Ti≧0.5のときの膜厚を比較すると約1:1であった。
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