水素中ミリングを利用したHDDRによるTi化合物の組織・構造制御と新機能の発現

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07455261
• 研究機関: 北見工業大学
• 研究代表者: 青木 清 北見工業大学, 工学部, 教授 (70124542)
• 研究分担者: 大場 正志 北見工業大学, 工学部, 助手 (50281879) ; 伊藤 英信 北見工業大学, 工学部, 助教授 (90113703)
• キーワード: 水素吸蔵 / 金属間化合物 / メカニカルアロイング / 微細組織 / ナノ結晶 / 圧縮変形 / 機械的性質 / TiAl

研究概要

近年、TiAlが軽量耐熱構造材料として期待されているが、常温における著しい脆さがその実用化を阻害している。そのため、常温延性の改善を目的として数多くの研究が行われている。本研究では、組織の微細化による延性改善法としてHDDR(Hydrogenation-Disproportionation-Dehydrogenation-Realloying)に着目した。TiAlを水素中でメカニカルアロイング(MA)すると、TiH_2+残相に分解する、つまりHD過程が起こる。この混合粉末を昇温するとTiH_2の分解によって生じるTiと残相が再合金化してナノ結晶のTiAl粉末が得られる、つまりDR過程が起こる。このナノ結晶TiAl粉末は高活性であり、空気に晒さず真空ホットプレスすると、従来より約300Kも低温の873Kでほぼ真密度のナノ結晶バルク材を得ることができた。同様に、Ti-48Al,Ti-48Al-2V,Ti-48Al-2CrおよびTi-48Al-2Mnを水素中ミリングを利用したHDDRとホットプレスの組合せによりナノ結晶バルク材を作製して、相対密度、微視的組織、および機械的性質(圧縮試験、硬度)を測定・評価した。さらに、HD過程により作製した上記合金粉末を炭素鋼製の缶に挿入し、真空に引きつつ加熱して、DRを起こさせた後、真空封入した。この試料をホットプレスして得られたバルク材の諸性質を測定・評価した。以上の結果より、水素中ミリングを利用したHDDR法がTiAlの組織の微細化による機械的性質の改善に有効であることが判明した。

研究成果

• [文献書誌] M.Sato,K.Aoki and T.Masumoto: "Hydrogen Induced Amorphization of Intermetallic Compounds RAI" Sci. Rep. Res. Inst. Tohoku Univ.A42. 13-21 (1997)
• [文献書誌] Y.Itoh,K.Aoki and T.Masumoto: "Preparation of Nanocrystalline TiAl Powders by Ball Milling in a Hydrogen Atmosphere and Deydrogenation" Materials Science Forum. 225-227. 889-894 (1996)
• [文献書誌] K.Aoki,Y.Itoh,J.Park,Y.Kawamura and T.Masumoto: "Preparation of Nanocrystalline Bulk TiAl by a Combination of HDDR and Hot Pressing" Intermetallics. 4. S103-S111 (1996)
• [文献書誌] X.G.Li,A.Chiba,K.Aoki and T.Masumoto: "Hydrogen-Induced Amorphization in Ce-Al Alloys" Scripta Mater.35,7. 817-823 (1996)
• [文献書誌] K.Aoki,Y.Itoh,Y.Kawamura,A.Inoue and T.Masumoto: "Nanocrystalline TiAl Compacts Prepared by HDDR and Hot Pressing" Materials Research Society Symposium Proceeding-High Temperature Ordered intermetallics Allovs. Dec. 2-6 1996 Boston,MA. (in press).