研究概要 |
レーザーによる溶融加工プロセスにおいては,材料の蒸発に伴うキ-ホールの形成が現象を支配する.このため,加工プロセスの信頼性を確保するには,キ-ホールを安定に維持することが必要である.レーザーの照射にともなって発生するレーザープラズマプルームは,キ-ホールの形成状況を直接反映したものであると同時に,レーザービームと相互作用し,ビームを吸収・散乱し,レーザービームによる加工特性に著しい影響を与える.本研究は,上記のような観点から,レーザープラズマプルームの計測によるレーザー溶融加工プロセスのモニタリングシステムの開発を目的としている. 本年度は,Kramersの制動放射理論をベースとする赤外線放射プラズマ診断装置を試作し,アークプラズマを対象に,その信頼性について検討し,ほぼ所期の目的を達成した.また,これに次いで,CO_2レーザーの照射によって発生するスズ(Sn)板上のレーザープルームと,自由空間中のCO_2レーザービームのパス上に形成されるフリーバーニングレーザープラスマ(free-burning laser plasma)とを対象に,計測を試み,各種レーザープラズマの電子密度分布を明らかにした.さらに,その結果をもとにプラズマによるレーザービームの吸収特性についても検討し,きわめて満足すべき結果を得ている. 次年度は,これらの成果をもとに,実用材料を対象とした計測を試みるとともに,プラズマ組成,とくに金属プラズマの検出手法についての検討を行い,レーザー溶融加工プロセスのモニタリングシステムの基礎を確立する予定である.
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