クルマエビとアメリカザリガニの活きた材料から眼柄つを切り取り、サイナス腺を摘出した。クルマエビのサイナス腺を30%アセトニトリル/2%食塩水中でホモジナイズし、その遠心上清を直接逆相HPLCにかけ、合計6個の主要なペプチドを分取した。これらを溶出順にPej-SGP-I VIと名付けた。質量分析の結果、これらはいずれも分子量が8300-9100であり、N末端アミノ酸配列分析の結果、これらはすべて既に他の甲殼類から得られているCHHペプチドに属することがわかった。これら6個のペプチドすべてについて全アミノ酸配列を決定した。その結果、IVを除く5つのペプチドはすべて72アミノ酸残基からなり、C末端はアミド化されていた。一方、IVは77残基からなり、C末端は遊離のカルボキシル基であった。IVのみが脱皮抑制活性を示し、残りのペプチドはすべて血糖上昇活性を示した。IIIに対応する2本鎖DNAを化学合成し、バキュロウィルスに組み込んだ。現在、これをカイコの培養細胞を用いて発現を検討中である。また、上記のペプチドの卵黄形成抑制活性について、卵巣のin vitro培養系を用いて予備的に調べたところ、1サイナス腺相当量ですべてのペプチドが卵巣のタンパク合成を抑制することがわかった。これについてはさらに検討中である。 アメリカザリガニのサイナス腺についても同様にして抽出し、脱皮抑制ホルモンを単離し、全一次配列を決定したところ、75アミノさん残基からなり、C末端はアミド化されていることがわかった。このペプチドはクルマエビのIVと約50%相同性を示した。
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