研究概要 |
抗酸化ビタミン・脂肪酸摂取について、我々が開発した半定量的な食物摂取頻度調査票の妥当性を評価する目的で、岩手二戸、秋田横手、長野佐久、沖縄石川の4保健所管内の中年期の夫婦世帯253名を対象に、年2回(2、8月)の採血、年4回(2,5,8,11月)の7日間秤量食事記録調査を実施し、各法で得られた摂取に関する情報を比較した。血液に関しては、高速液クロで血漿カロテノイド(β^-、α^-カロテン、ルテイン、リコペン)、レチノール、α-トコフェロールを、比色計で血清アスコルビン酸を、また、秋田と沖縄については、血清脂肪酸をガスクロで測定した。血清カロテノイド類において、秋田、沖縄では8月に、長野では2月に高いとうい明かな季節変動が認められ、カロテノイド含有食品の摂取量に季節変動がある事を示唆した。地域差は、レチノールを除き認められた。食品摂取頻度との関連は、季節・地域・性別により異なるが、にんじんとα^-、β^-カロテン、トマトとリコペンの間で相関が高かった。血清脂肪酸の絶対量(mg/dl)は、2地域ともに2月に高いという季節差を多くの脂肪酸で認めたが脂肪酸組成(%)では季節差は殆どなかった。地域差は男女共、いずれの季節でも、また、絶対量・組成共に、n-3系は秋田に多く、n-6系は沖縄に多いという特徴があった。魚の摂取頻度に性差はなかったが、地域差は顕著で、一部の魚を除いて秋田の方が高かった。また、ポーション・サイズを加味して食物摂取頻度調査票から計算したn-3系の脂肪酸摂取量(g/day)も、秋田が2倍以上高値であった。血清n-3脂肪酸との相関は、秋田男性の2月の絶対量との間に高い相関を示した。今後、成分表データベースやプログラムの開発により食物摂取頻度調査や食事記録調査からの抗酸化ビタミン・脂肪酸摂取量をより精度良く推定し、血中濃度を参照しながら判定量的食事調査法の妥当性を評価する。
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