研究概要 |
体重250〜350グラムの雄Lewis RatよりCollagenase消化法と濃度勾配遠沈法を用いて直径約200±10μmのラ島を収集した。約20個取り出しUW solution(4℃ cold storage)に保存した。保存時間を,fresh,3,16,24時間の4群に分け,各群のラ島c-AMP値を我々が開発した酵素反応を用いて分光蛍光光度計にて測定した。 Forskolinによりラ島のインスリン分泌を刺激した群ではUW solutionに保存した場合のc-AMP値(fmol/min/islet)は持続的に高値を示した(fresh:108.6±29.3,3時間:86.6±17.5,16時間:60.5±16.8,24時間:54.5)が,48時間後に低下し始め(45.5±18.8),96時間後には33.5±15.7と有意に低下した。 Ratにストレプトゾトシン(60mg/kg)を静脈内に注入して糖尿病Rat(non-fasting glucose400-500mg/dl)を作成した。約1,000±10個のラ島を各保存群ごとに門脈内に同種移植し,あらかじめ測定したAdenylyl Cyclase活性と移植後の血糖値を経時的に比較した。ラ島をUW solutionに保存した場合,24-30時間ぐらいまでならAdenylyl Cyclase活性値に有意差はなく,移植1週間後に血糖値は低下し始め,2週間後にnon-fasting euglycemia(plasma glucose<200mg/dl)に回復した。即ち,移植前Adenylyl Cyclase活性値と移植後のeuglycemiaには良好な相関関係を認めた。 術前c-AMP値は血糖レベルを200までが正常上限とすると,移植前のc-AMP値が少なくとも65〜70以上なら良好にコントロールされる。即ち,移植前のc-AMP値の評価はラ島機能評価の有用なマーカーとなりうる。
|