研究課題/領域番号 |
07457299
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
北村 惣一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10028607)
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研究分担者 |
庭屋 和夫 奈良県立医科大学, 医学部・第3外科, 助手 (30254501)
小林 修一 奈良県立医科大学, 医学部・第3外科, 助手 (50201489)
上野 聡 奈良県立医科大学, 医学部・組換えDNA, 助教授 (40184949)
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キーワード | 遺伝子導入 / 心筋細胞移植 / アデノウイルス |
研究概要 |
心臓への細胞移植が治療手段となるためには、多くの問題を解決しなければならない。1)長期のドナー細胞の生着。2)ドナー細胞とホスト心筋細胞の機能的結合。3)心機能を改善するのに十分なドナー細胞の移植。4)ホスト心臓に著明な炎症をもたらさないこと。5)ドナー細胞が腫瘍原性を獲得しないこと。以上の条件が考えられ、本年度は1)及び2)の条件に関して研究を行った。ドナー細胞にはマウス胎児の心筋細胞を用い、レシピエントには同系のマウスを用いた。1)に関して:ドナー細胞への血液供給が十分であることが重要であると考え、血管新生をもたらすVEGFのような因子をドナー細胞自ら分泌すれば長期の生着を可能に出来るのではないかという仮説のもとに、遺伝子導入ドナー細胞の移植を導入法を変え行った。導入遺伝子には、マーカー遺伝子としてβ-galactosidaseを用いた。結果はアデノウイルスベクターによる遺伝子導入が、細胞障害のない濃度でほぼ100%の導入効率をもたらし、細胞移植の後も著明な炎症反応を励起することなく遺伝子発現は12週間に及んだ。レトロウイルス及びプラスミドとリポフェクティンの混合液による導入効率は、25.5%,7.5%と低く発現遺伝子の効果を生体内で確認するに十分なものではないと判断した。Ex vivo gene transferのベクターとしてはアデノウイルスが最も優れていた。2)に関して:遺伝子導入心筋細胞とホスト心筋細胞の関係を検討するために透過型電子顕微鏡にてその形態を検討した。ドナー細胞は、マーカー遺伝子産物により電子顕微鏡下に黒いデポジットとして認識され、ホストの心筋細胞とギャップ結合を有していた。このことよりドナー細胞はホスト心臓に統合されていることが示され、心機能をアシストする可能性をもっていると考えている。
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