研究課題/領域番号 |
07457308
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鷲山 和雄 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (00183715)
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研究分担者 |
薄井 宏 新潟大学, 脳研究所, 助手 (20192510)
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
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キーワード | PNET / 髄芽腫 / 神経成長因子 / trk / 神経成長因子リセプター / 未分化神経外胚葉腫瘍 |
研究概要 |
小児未分化神経外胚葉系腫瘍Primitive Neuroectodermal Tumor(PNET)は、未分化な神経外胚葉細胞から発生したと考えられ、しばしば神経細胞への分化能を併せ持つことも知られている。本研究では、神経成長因子リセプター即ちTrkA、TrkB、TrkCのPNETでの発現状況を組織レベルで調べ、PNETにおける神経細胞系への分化との関連について検討した。 先ず、TrkAに対するもの3種、TrkBに対するもの5種、TrkCに対するもの2種、汎TrkABCに対するもの3種、BDNF、NT-3、NT4/5に対するもの各1種類の抗体を作製した。抗体の特異性にWestern blot法および免疫沈降法により確認した。 TrkAは20%例で、やや分化した細胞密度の低いneuronal nest即ちいわゆる"follicle structure"の一部に認められ、未分化な小型腫瘍細胞には認められなかった。Western blotでもgp140trkAが検出された。TrkBは50%例でTrkAと同様neuronal nestに陽性を示し、未分化な小型腫瘍細胞は大部分で陰性を示した。TrkCは50%例でKi-67陽性率の高い未分化な小型腫瘍細胞に認められた。しかしTrkAやTrkBが陽性を示し、Ki-67陽性率の極めて低いneuronal nestでは陽性染色は得られなかった。BDNF、NT3、NT4/5は種々の程度で腫瘍細胞に発現が認められた。 TrkCが未分化な腫瘍細胞で発現し、TrkA、TrkBが神経細胞への分化度の高い腫瘍細胞で発現する傾向のあることは、PNETの病態における神経成長因子の関与を示唆すると同時に、細胞内チロシンキナーゼドメインを有するひとつないし複数のリセプターが、シグナル伝達系を介してPNETの細胞増殖や細胞分化に深く関与する可能性を示唆するものと思われた。
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