1)RB遺伝子プロモーターの調節機構の解明 A)RBタンパク自身によるRB遺伝子プロモーターの活性化機構 RBタンパクがRB遺伝子プロモーターの3′側の部位を介してRB遺伝子の発現を増強させることを見いだした。したがって、RB遺伝子におけるいわゆるauto-regulationの機構が存在することが明らかとなった。 B)RB遺伝子プロモーターにおける最も重要な転写因子の同定 網膜芽細胞腫家系において発見された点突然変異の存在する部位を私達は以前RBF-1と名付け、そこに結合するタンパクを精製したところ、それは転写因子のE4TF1であった。今回更に、E4TF1が実際にRB遺伝子プロモーターを活性化させるか否かを検討した。その結果、E4TF1は実際にRBF-1部位を介して、RB遺伝子プロモーターを活性化することは明らかとなった。 2)酪酸によるWAF1遺伝子プロモーターの活性化機構 RB遺伝子プロモーターが失活して網膜芽細胞腫の体質になっている時にRB遺伝子プロモーターを活性化させると癌体質は改善できる可能性があるが、その時にRBタンパクを活性化型にするWAF1遺伝子をプロモーターレベルで活性化することが望ましい。最近私達は食物繊維の代謝産物である酪酸がWAF1遺伝子プロモーターを活性化させることを見いだした。現在その機構を更に検討中である。
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