研究課題/領域番号 |
07458111
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山脇 道夫 東京大学, 工学部, 教授 (30011076)
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研究分担者 |
小野 双葉 東京大学, 工学部, 助手 (00011198)
山口 憲司 東京大学, 工学部, 助教授 (50210357)
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キーワード | プラズマ-材料相互作用 / 表面原子層 / ニオブ / モリブデン / 超透過 / 核融合粒子制御 / 核融合炉燃料サイクル |
研究概要 |
入射フラックスにほぼ匹敵する割合(0.1以上)で水素同位体の透過が生じる特異的な現象を“超透過"と称し、これは例えばプラズマ排ガスの精製のための水素同位体ポンプとしての適用が提案されている。本研究では、この超透過に代表される水素同位体-材料相互作用の機構を、表面原子層組成との関連において明らかにすることを目的としている。さらに、得られた知見をもとに、核融合粒子制御にとって有効な表面組成制御法を実験的に検証することを目指している。 初年度である平成7年度は、まず、核融合粒子のマスバランスの定量的評価を目的として、既設の照射装置の改良を行った。その結果、入射エネルギーが数keVから100eVまでの範囲で十分なフラックスを有するイオンビーム照射系の構築に成功した。しかも、照射系は差動排気されているため、ビーム照射中における圧力上昇はほとんど無く、上流側への再放出の測定が可能となり、下流側への透過との同時測定が可能となった。 このような体系により、“超透過"を呈するとされるニオブ(Nb)を対象に、重水素イオンビーム照射実験を行った。As receivedの状態で入射重水素イオンフラックスに対する重水素透過フラックスの割合を評価した結果、約0.1となった。しかも、重水素の透過中下流側表面をアルゴンイオンで照射したところ、数倍以上透過フラックスが増大することを見出した。さらに同様の重水素ならびにアルゴン照射をモリブデン(Mo)に対して行ったが、アルゴン照射による透過速度の上昇はほとんど見られず、Nbと著しい対照をなしていた。今後照射条件を綿密に制御し、それに伴う表面原子層組成の変化を詳細に検討することにより、このような現象が生じる機構の解明ができると期待される。
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