研究概要 |
本年度も,当研究グループより提案されたポリマー光ファイバ増幅器の基礎動作特性の評価と,その応用に関して有機的に研究を展開した. POFAから発生する高出力な増幅された自然放出光(Amplified Spontaneous Emission : ASE)の基礎特性を評価した.このシステムは励起光源のみで実現可能であり,簡易型の可視光源となる可能性を有している.Rhodamine 6GやRhodamine Bをドープ色素として使用し,最大キロワットクラスのピーク出力を得ることに成功した.このときの最小出力スペクトル幅は12nmであった.また,出力特性の励起波長依存性を検討した結果,色素分子の吸収断面積が最大である波長で励起することで,エネルギー変換効率が40%近い高効率動作を実現した. 当研究グループでは,このファイバ型可視光源の応用として癌の光線力学的診断(PDD)や光線力学的診断(PDT)用の光源を提案している.本年度は,活性酸素を媒介とするPDTのミクロレベルでの機構の解明を行った.具体的には,(1)光感受性物質Zn Coproporphyrin IIIを用いたヒト肺小細胞癌MS-1細胞に対する殺細胞効果,および(2)ラット腸間膜微小循環系の血流遮断(Vascular Shut Down : VSD)効果を評価した.PDTの基礎的なメカニズムが,活性酸素産出による直接的な癌細胞破壊と,血流遮断効果による癌細胞への栄養分の遮断による間接的な癌細胞破壊に大別することができ,各効果を効果的に組み合わせることにより,治療効果の増加が期待できることを実験的に示した.
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