研究概要 |
鋼ならびにアルミニウム合金の連続鋳造における高速化に伴う内部割れ・表面割れなど,再び凝固プロセスにおける割れの問題が大きな問題となってきた。本研究では代表者らの開拓した浮遊溶解による固液共存状態における鋳型なしでの引張試験法を更に発展させ,割れならびに凝固加工システムを確立させるものである。今年度は固相率と強度・変形の関係,これらの関係に及ぼす結晶粒度・ひずみ速度の影響,合金元素の影響を鉄鋼,銅合金,アルミニウム合金で広範に求めた。1.炭素鋼の固液共存状態における変形挙動に及ぼす微細化ならびにひずみ速度の影響0.14および0.70%C炭素鋼の凝固時の冷却速度を制御することで凝固組織の粗さを変化させ粗さの変形挙動に及ぼす影響を検討した。変形能は微細化することで大きく改善されることが示された。ひずみ速度は凝固時においても影響し,強度には固体で得られたと同様にひずみ速度が大きいほど増加し,延性は凝固完了近傍で10^<-3>/s程度の低歪み速度になると向上することが明らかにされた。2.リ-ドフレーム用銅合金の固液共存状態における変形挙動Cu-Sn系リ-ドフレーム用鋼合金の固相線温度までの変形挙動に及ぼすSn量,温度,歪み速度,歪みの影響を明らかにした。3.共晶アルミニウム合金の固液共存状態における変形挙動 鋳造アルミニウム合金の多くは共晶凝固を伴う。共晶凝固反応の進行に伴う強度の発現,延性の発現に対してAl-Mg-Si,Al-Cu合金で凝固時の温度,固相率,歪み速度,微細化の影響について検討した。4.凝固・変形シュミレーターの設計試作 割れシュミレーターならびに凝固組織を任意に調整し固相での変態履歴の有無を考慮した凝固・変形シュミレーターを設計制作した。
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