研究概要 |
多孔体として液相法で合成したシリカアルコゲルを用い、超臨界二酸化炭素により乾燥実験をおこなった。 1溶媒の相平衡関係と多孔体中での溶媒の拡散速度についての検討 平成8年度に予定している超臨界疎水処理に使用する疎水化材+二酸化炭素系の相平衡を測定した。これにより疎水化処理実験の条件検討が可能になった。なお、予定していた二酸化炭素+エタノール系の相平衡関係は文献値が入手できたので測定は行わなかった。 2乾燥時の収縮やクラックに関する検討 乾燥実験の際、加圧,加熱,流通,減圧,冷却の各操作段階での操作変数の変化速度を種々変えて、窓付き高圧容器を用いた相挙動や試料の状態の観察,抽出ガスの組成分析を行うことにより多孔体に収縮やクラックが発生する時期とその原因を検討した。その結果、各操作段階におけるクラックの発生の主要な原因は二酸化炭素とエタノールの濃度差に起因する物質移動応力,ゲル内外での温度差に基づく応力,メタノールの残留による毛細管吸引力であることが推察された。 さらに、流通時に二酸化炭素の流量を大きくすると界面領域が発生し、これが試料を通過すると試料にクラックが発生することがわかった。本研究ではこの界面領域が温度,圧力の操作条件によって界面領域の色の濃さに違いがあることを発見し、化学ポテンシャルを用いて理論的な相関に成功した。 3乾燥条件と細孔構造との関係の検討 乾燥条件により多孔体の細孔構造が変化することが推定されたが、窒素吸着法により細孔径分布を測定したところクラック等が発生していない試料の場合、乾燥条件により細孔構造がほとんど影響を受けていないことが判明した。 以上より、試料の大きさを考慮した最適操作条件の確立、試料を損傷させる原因の解明がほぼ達成されたといえる。
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