NO視覚化の研究は、NOの発生状況のリアルタイムの測定を目指したものである。これには、「視覚化」の文字どおり一次的にNO分子そのものを何らかの手段で目に見えるようにする方法と、NOの分子の量を目に見えるようにする方法がある。前者は二次元的なNOの広がりを見るのに適しているし、また後者は時間的に精密な変化を記録するのに適している。前者はルミノールなどの蛍光剤を用いてNOの存在を間接的に知らせるもので、我々も最初にこれを試みたが、感度と特異性に難があることがわかり、微量のNOの測定に適さないことが予想されたので中止した。また、この方法は、本科研費の授与が行われた年の夏に、英国での成功が伝えられたために、二番手になることを恐れたことも中止の理由となった。そこで、我々は、後者の微量のNOの連続的な定量をめざし、約一年半程かかって、システム全体を試作し、その後の一年で、改良と応用の検討を行った。本装置を用いて呼気NO(数ppb程の濃度)を連続測定することができるため、ヒトでの安全で手軽な測定が可能となった。測定装置の各部分を列記すると、NOの科学発光式測定装置・酸素、二酸化炭素測定装置・気流測定装置・時間遅延装置・信号記録処理装置であり、これらの各部分が組合わさって、呼気中のNOの分析を数ミリ秒台のサンプリングタイムで行うことができる。このシステム自体には、特定の特許は設定しにくい様であるが、システムの中心となる時間遅延装置のソフトウエアについては、当研究グループで開発され、太陽東洋酸素がコピーライトをもっている。
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