研究課題/領域番号 |
07558244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村林 俊 北海道大学, 工学部, 助教授 (30200306)
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研究分担者 |
中路 修平 クラレ株式会社, メディカル事業部, 主席部員(研究職)
松下 通明 北海道大学, 医学部, 講師 (20250425)
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キーワード | 免疫調節材料 / 体外免疫療法 / 免疫賦活物質 / リンパ球 / マクロファージ / ボロン酸 |
研究概要 |
本研究は、新たな免疫活性材料の開発を基に、効果的な体外免疫調節システムの開発を目的としている。平成8年度では、ボロン酸を有する高分子材料に関し、その免疫細胞に及ぼす作用を検討した。 合成した高分子材料はボロン酸スチレンとアクリル酸の共重合体(poly(VPB-AA))、及びボロン酸スチレンとアリルスルホン酸ナトリウムの共重合体(poly(VPB-ASA)であった。poly-(VPB-AA)では、AAの含有率が異なる5種類の共重合体、及びボロン酸スチレンとアクリル酸のホモ重合体の7種類の材料を合成し、溶媒キャスト法により培養プレートの各ウェル底面に被覆し試料とした。免疫細胞として、マウス脾臓リンパ球、及びチオグリコール酸により誘導されたマウス腹腔マクロファージ(Mφ)を用いた。脾臓リンパ球を試料上で72時間培養し、増殖活性をBrdU-ELISA法で調べたところ、共重合体はリンパ球を顕著に活性化することが明らかとなった。その活性化度はAAの含有率に依存し、含有率が増加すると供に上昇し、50%程度で最も大きな活性化を示し、さらにAAの含有率が増加すると、活性が減少することが判った。その最大の活性化の程度は、リンパ球のマイトジェンであるConAの60%にも達することが明らかとなった。一方、Mφに関しては、全く異なる作用を示した。NO産生量を測定したところ、顕著に抑制し、LPS刺激時のNO産生をも抑制した。その抑制の程度はAAの含有率に依存し、AA含有60%において最大の抑制効果が示された。 一方、poly(VPB-ASA)では、リンパ球、Mφ共に影響を与えず、AAと同様に負電荷を有しているASAにおいて顕著な差が生ずるという非常に興味ある知見が得られた。
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