研究課題/領域番号 |
07558244
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村林 俊 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30200306)
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研究分担者 |
松下 通明 北海道大学, 医学部, 講師 (20250425)
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キーワード | 免疫調節材料 / 体外免疫療法 / 肝再生 / マクロファージ / INF-γ / INF-β / LPS / MDP |
研究概要 |
本研究は、新たな免疫調節材料の開発を基に、副作用がなく且つ効果的な免疫調節システムの開発を行うことを目的としている。平成9年度では、肝不全の治療において大きな課題である肝再生に着目し、その再生を促進させる免疫調節材料の開発を目的として研究を行った。免疫調節材料として、免疫賦活剤(BRM)固定化材料に着目し、そのBRMの選択を目的として、BRMにより活性化された免疫細胞による肝再生作用効果を、肝細胞の初代培養系において評価した。 BRMは、マクロファージ系に対する代表的刺激剤であるINF-γ、MDP、LPSとINF-βを用いた。肝細胞はラットより調製し、L15培地に浮遊させ、肝実質細胞及び非実質細胞の混合培養を行った。ラット末梢血単核球および脾細胞を各BRMで1時間刺激後、肝細胞培養系に加え、培養45時間後に、増殖能としてLabelinng Indexを、肝細胞障害の指標としてGPT値を測定した。また、BRM添加にて免疫細胞を48時間培養後の上清を用い、液性因子の影響を調べた。 末梢血単核球を用いた場合、いづれのBRMにおいても差は見られなかったが、脾細胞では有意の相連が得られた。INF-γでは、コントロールの1.4倍の増殖促進が見られた。肝非実質細胞を加えなかった場合、また、脾細胞培養上清では差がないことより、その増殖促進は細胞間相互作用に因ることが明らかとなった。INF-βでは、増殖能が0.6倍に低下し、増殖抑制が見られた。また、非混合培養、培養上清においても抑制傾向を示し、GPTの増加も見られた。LPSではGPTの増加をもたらし、培養上清、また、LPSのみの添加においてもGPTが増加した。MDPもLPSと同様な傾向を示した。 免疫系を操作することにより、肝細胞の再生に影響を与え、その再生が促進あるいは抑制されることが明らかとなった。lNF-γは、免疫調節材料のBRMとしての可能性を示した。一方、ウイルス性肝炎の治療薬として臨床で用いられているINF-βは、肝再生の見地よりは適切ではないことが明らかとなった。
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