健康な男女大学生を対象に、口腔感覚による食品形態の識別能と食品のテクスチャーの関係を調べた。また、手、視覚による形態識別能と口腔感覚による識別能とを比較し検討した。手による形態識別では硬いアクリルは軟らかいトウフに比べ誤答数が少なく、硬い試料の形態識別能がよかったが、口による試料形態の識別では硬さの違いによって誤答数にあまり違いは見られなかった。手の触覚では軟らかい食品よりも硬い食品の方が形態識別能が良いのに対して、口腔感覚では硬い食品と軟らかい食品と同程度の形態識別能があり、口腔感覚は軟らかい食品でも比較的優れた形態識別能を有していることが示唆された。また、口の感覚による試料の識別能は大きいもの(30mm×12mm)と小さいもの(10mm×4mm)とではほとんど変わりはなかった。手の触覚に比べて口腔感覚では比較的小さいものの形態識別が良いことが示唆された。 次に、異なるテクスチャーをもつ食品の厚さの弁別能を口腔各部の軟組織・歯牙の感覚について測定し、指の感覚視覚の弁別能と比較した。食品の厚さが3mmと薄い場合にはテクスチャーの違いによる弁別能に違いはなく、舌-頬の弁別能に比べ上中切歯-舌中切歯、舌-上中切歯、口唇-口唇の間での試料の厚さの弁別能が良かった。食品の厚さが10mmと厚い場合には、硬い試料に比べ軟らかい試料について上中切歯-下中切歯、親指-人差し指による食品の厚さの弁別能が悪いことが示唆された。
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