研究概要 |
本研究は、中世民衆の権利意識と規範意識とを統一的に検討することによって民衆の法思想を解明しようとするものである。そのさい、村法を民衆の法思想の表現であると把握して研究目的にアプローチしようとした。 本年度は、前年度に引き続き村法成立の歴史的意義を追求するために、村法がいかなる基礎から生み出されてきたのかを検討した。かかる課題を解明するためには、まず中世村落の実態を追求することが必要不可欠である。村落の立地条件、生産構造、生活慣行などの調査をおこない具体的なデータを蒐集分析することが重要である。本年度は、畿内の荘園村落(山城岡状見荘、山城岡鞍馬荘、和泉岡日根野荘)の調査のみならず、九州地方の村落で薩摩岡日置荘)、東岡の村落(武蔵岡鶴見寺尾御)を対象として実態調査をおこなった 。日置荘の調査においては、下地申分の実態、寺荘の残存状態、開発領との屋敷跡などを、鶴見寺尾御では、溝、村堂、溜池道路などを検討することができた。なお、本年度は、当該研究の最終年度にあたるので、研究成果報告書(I,研究の概要II,研究内容、III,村法関連略年表)を作成した。
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