研究分担者 |
斎藤 政彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80183044)
渡辺 信三 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90025297)
上野 健爾 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011655)
河野 明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00093237)
西田 吾郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00027377)
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研究概要 |
本年度の最大の成果はシンプレクティック多様体の周期ハミルトン系の周期軌道に関するア-ノルドの予想の証明である.これは小野薫氏(お茶の水大学)との共同研究である.証明のあらましは現在投稿中の論文,Arnold Conjecture and Gromov Witten invariant for general symplectic manifods, に述べた.(証明の詳細を述べた論文は準備中である.) ア-ノルド予想はコンパクトなシンプレクティック多様体の周期ハミルトン系には,全ての周期軌道が非退化ならば,少なくとも多様体のベッチ数と同じだけの周期軌道が存在する,というものである.この予想はいろいろな特別なシンプレクティック多様体に対して知られていて,シンプレクティック幾何学の中心問題とみなされていた.フレア-がグロモフによる概複素曲線の方法を応用して以後,解決に近づいていたが,概複素曲線の方法を一般のシンプレクティック多様体の場合に応用するにはnegative multiple coverの問題と呼ばれる困難を解決する必要があった.negative multiple coverの問題とは,リーマン面からシンプレクティック多様体への概複素曲線が,一般には単射にならず,別の複素曲線の上に何重かに分岐したものになるということである. 深谷と小野はこれが代数幾何学における数え上げ幾何学の同様な問題と並行した物である事を見抜いた.代数幾何学ではスキーム理論におけるreduced objectが導入されているが,これは本質的には上のmultiple coverと同じものである.深谷と小野はスキームの理論の無限回微分可能関数のカテゴリーでのアナロジーを建設し,さらに,多価摂動を考察することでnegative multiple coverの問題を解決した. 同じ方法はmultiple coverの問題がかかわるさまざまな局面で有効であると期待しており,位相的弦理論の分配関数である,Gromov Witten invariantを一般のシンプレクティック多様体で定義することには,すでにこの方法で成功した. ア-ノルド予想は「全数学」の「シンプレクティック化」というア-ノルドの雄大な構想の一部をなす物である.深谷は空間概念の量子化という構想を独立に抱いており,カテゴリー代数の組織的な考察はその一部であると考えている.(2番目の文献).本年度の他の成果は,ホワイトヘッドトーションのシンプレクティック化(3番目の文献)などであり,この構想の他の側面をになうべきものである.15EA06:また,モ-スホモトピー論はこの構想の中核として深谷が考えたものであるが,かねてから孰筆中の,シンプレクティック幾何とモ-スホモトピー論をつなぐ定理を詳細に証明した論文,Zero Loop open string on cotangent bundle and Morse homotopy(Y. Ohと共著)が本年度完成した(投稿中.)
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