研究概要 |
原子核の集団励起モードである巨大共鳴のうち、アイソスカラーモノポール共鳴は、巨視的に見ると原子核の圧縮運動に対応するもので、その励起エネルギーは原子核の圧縮率に関係しており、原子核物理学だけでなく星の進化とも関係しており極めて重要な励起モードであった。 一方、アイソベクターモノポール共鳴はランダウ流に言えば、超流動ヘリウムのエントロピー波である第二音波に対応するアイソスピン波に対応するものと考えられる。パイオンの荷電変換反応で最初示唆されその後重イオン反応を用いて調べられてきたが、現在までのところ、十分には確立していない。我々は核子当たり70MeVの^7Liを入射粒子とする(^7Li,^7Beγ)重イオン荷電移行反応を用いて、Grand Raidenで検出した散乱粒子と巨大共鳴領域からの崩壊中性子との同時計測を行うことによって、準弾性散乱の効果を軽減して、バックグランドの少ない実験の為の準備を大阪大学核物理研究センターで進めている。現在までのところ、ターゲットチェンバー、崩壊ガンマー線測定用のGSOカウンター系が完成した。中性子検出器としては50台のBicron社製の液体シンチレーションカウンター(直径20cm,厚さ5cm)の準備が終わった。また、今回導入したデータ収集系の要となるUNIXコンピュータでデータ収集用オンラインモニター用のプログラムや、オフライン用のデータ解析プログラムの整備が行われている。
|