研究概要 |
[本研究の目的]本研究は、名古屋大学で既に構築した重力データベースの一層の充実を図り、フォッサマグナ以西の本州・四国の全域および九州の中・南部地域を満遍なく覆い尽くした西南日本地域の稠密分布・高精度重力データベースを構築し、その成果を公表することを目的とする。このために、(1)空白地域での測定の補充と既存データの収集・他研究機関との協力の推進、(2)全収録データの規格化と既存データの精度向上のための全面的改訂の遂行、(3)全集録データのデータベース化を行う。 [本年度の実績]3年計画第2年目の本年度に達成した事項は以下の通り。(1)空白域の解消:名古屋大は富山県北部・九州中部において約1,900点、島根大は島根県西部・広島県西部および山口県中部・東部の各地域において約600点の測定を実施し、データ空白域を解消した。(2)重要地域でのデータ稠密化:名古屋大は養老断層・一志断層・濃尾平野・知多半島全域を含む地域一帯、天竜川から大井川にかけての東海地域一帯および丹後半島において約2,700点、島根大は雲仙火山地域一帯において約250点の稠密測定を実施し、各地域において精細な重力異常図の作成を可能にした。以上(1)(2)の測定で、名古屋大・島根大合わせ当初目標を遥かに越える総計5,450点の新規データを補充した。(3)他機関との協力の推進:本年度期間中に、京大理学部・防災研究所、愛媛大、東大地震研究所、地学団体研究会の他、新たに鳥取大・名古屋市との協力が進みそれぞれで取得されたデータを新規に収録した。 [得られた成果]本年度他機関からおよそ3,500点の新規データの収録と精度向上改訂作業を完了し、我々独自データと合わせて実質総点数で10万4千点のデータベース化を達成した。これで、(a)空白解消が一層進み、そこに新たな断層構造やカルデラあるいは陥没構造をいくつか見出し、(b)濃尾平野-東海地域の活断層構造が一層鮮明になり、(c)島根県20万地質図添付精密重力異常図が完成した。
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