西南日本の重力データベースの構築

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07640552
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 志知 龍一 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022596)
• 研究分担者: 小室 裕明 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80135897)
• キーワード: 西南日本 / 重力データベース / 空白域解消 / 稠密測定 / 精度改定 / 重力異常図 / 断層構造 / 陥没構造

研究概要

[本研究の目的]本研究の目的は、名古屋大学で既に構築した重力データベースの一層の充実を図り、フォッサマグナ以西の本州・四国の全域および九州の中・南部地域を満遍なく覆い尽くした西南日本地域の稠密分布・高精度重力データベースを構築し、その成果を公表することにある。このために、(1)空白地域での測定の補充と既存データの収集・他研究機関との協力の推進、(2)全収録データの規格化と既存データの精度向上のための全面的改訂の遂行、(3)全集録データのデータベース化を行う。
[本年度の実績]3年計画最終年度に当たる本年度に達成した事項は以下の通り。(1)空白域の解消および重要地域でのデータ稠密化:名古屋大は富山県中央部、九州の宮崎県全域と大分県南部、阪神地域の生駒断層と有馬-高槻構造線、および愛知県内一帯において総計5,300余点での測定を実施した。年間測定数としては、この量は過去最大である。島根大は山口県の一帯、熊本県中部一帯、および島根県の扇の山の各地域において総数1400余点の測定を実施した。これも年間測定数としては過去最大量である。これで、中国西部地域・九州中央部・北陸地域に残っていたデータ空白域の殆どを解消したと同時に、富山平野や濃尾平野をそれぞれ取り囲む、構造上重要地域でのデータ稠密化が著しく進展した。(2)他機関との協力の推進:本年度期間中に、国土地理院、京大防災研究所、鳥取大、富山県、応用地質株式会社との協力が進みそれぞれで取得されたデータを新規に収録した。
[得られた成果]名古屋大・島根大以外の他機関からの新規データの収録も進み、これまでに実質総数で71500余点を集録し、それら全ての精度向上改訂作業を完了した。これと我々独自データと合わせて実質総点数で11万1千余点のデータベース化を達成した。これで、(a)西南日本地域では、あと北陸と九州の極一部を残すだけで、殆どの地域での空白解消と稠密化が進み、各所で新たな断層構造やカルデラあるいは陥没構造をいくつか見出した。

研究成果

• [文献書誌] Nakai, S.: "Data processing for the Japan Gravity Standardization Net 1996" IAG Sympo. Vol. 117, Spriger-Verlag. 228-233 (1997)
• [文献書誌] Yamagiti, K.: "The establishment of the Japan Gravity Standardization Net 1996" IAG Sympo. Vol. 117, Spriger-Verlag. 241-248 (1997)
• [文献書誌] Kobayashi, S.: "Hidden fault scarp inferred from gravity analysis and disaster belt of the 1995 Hyogo-Ken Nanbu Earthquake" IAG Sympo. Vol. 117, Spriger-Verlag. 328-335 (1997)
• [文献書誌] Nawa, K.: "Inversion of gravity data to determine the terrain density distribution in southwest Japan," J. Geophys. Res.Vol.102, No. B12,. 27,703-27,719 (1997)
• [文献書誌] Hagita, N.: "Himi fault revealed by gravity survey in the west of the Toyama Plain, central Japan" J. Earth Planet. Sci. Nagoya Univ.,. Vol.44,. 29-59 (1997)
• [文献書誌] 小室裕明: "重力異常からみた大山-蒜山火山群の基盤形態" 火山,. 42,No.2,. 153-157 (1997)
• [文献書誌] 志知龍一: "島根県重力異常図(新編 島根県地質図付図,20万分の1)" 島根県地質図編集委員会, 全2葉 (1997)