研究概要 |
[目的]本研究の目的は、過去2回にわたる科学研究費補助金によって名古屋大学で構築した重力データベースの一層の充実を図り、フォッサマグナ以西の本州・四国の全域および九州の中・南部地域を満遍なく覆い尽くした西南日本地域の稠密分布・高精度重力データベースを構築することにある。このために、(1)空白地域での測定の補充と既存データの収集・他研究機関との協力の推進、(2)全収録データの規格化と既存データの精度向上のための全面的改訂の遂行、(3)全集録データのデータベース化を行った。 [実績]3年計画による本研究で達成した事項は以下の通り。(1)空白域の解消および重要地域でのデータ稠密化:名大は富山県中部・石川県東部・福井県東部、九州の宮崎県全域・熊本県南部・大分県南部、阪神地域の淡路島北部・生駒断層・有馬-高槻構造線、愛知県内一帯・静岡県中西部一帯において総計13,517点の測定を実施した。島根大は島根県西部・山口県全域の一帯、熊本県中部一帯、鳥取県の扇の山の各地域において総数2,795点の測地を実施した。これで、本研究開始の当初、中国西部地域・九州中央部・北陸地域に広く残っていたデータ空白域の殆どを解消したと同時に、1995年兵庫県南部地震震源域一帯や、東海地域など地震テクトニクスの構造上重要地域でのデータ稠密化が著しく進展した。(2)他機関との協力の推進:本研究期間中に、国土地理院、地質調査所、京大理学部・防災研究所、東大地震研究所、鳥取大、金属鉱業事業団、富山県、応用地質株式会社との協力が進みそれぞれで取得されたデータを新規に収録した。 [成果]名古屋大・島根大それぞれの実質蓄積量は42、579点・5、195点でとなり、他機関から実質総数で71500余点を集録し、それら全ての精度向上改訂作業を完了して、実質総点数で11万1千余点のデータベース化を達成した。これで西南日本の殆どの地域で空白域が解消し、各所で新たな断層構造やカルデラ・陥没構造を見出した。
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