研究概要 |
(1)Sm-Nd分析および同位体比測定のための基礎実験 我々の実験室ではSm-Nd分析法はスタートして日が浅く,希土類相互の分離や回収,測定精度の向上のために,試薬を用いて基礎実験を行っている。 (2)日立製質量分析計用マグネット電源の作製 老朽化していた日立製質量分析計用マグネット電源が故障したため,直流増幅器を購入する予定を変更し、マグネット電源を新たに作製させた。これは磁場をつくるための定電流電源装置であり,我々が必要とする安定性・応答速度を得るために検討を重ね,0-300mAにわたる広範囲の電流設定が可能であり,かつ1X10^<-3>/分以内という安定した電流を与える電源をつくることができた。 (3)中国大陸のレスのSr同位体比の測定 北太平洋に分布する遠洋性堆積物は生物起源,島弧からの火山灰および風成塵からなるが,その中でも風成塵は主たる構成物であると考えられる。現在風成塵は中国大陸北西部の乾燥地帯から飛来しているが,中国での風成堆積物(レス)の分析例は非常に少ない。今回黄河上流蘭州のレス,および揚子江河口域の水中に再堆積したレスのSr同位体比を測定した。その結果,87Sr/86Sr比は0.714-0.722の範囲にあり,遠洋性堆積物の供給源として予想していた値と一致した。また北部九州筑紫平野の土壌のSr同位体比は0.719と中国大陸のレスと同じ値を示すものもあった。土壌の分析結果については九州大学研究報告にまとめた。
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