研究概要 |
われわれはこれまで、ラットを用いた実験形態学的研究により、大腿骨断面形状、筋相対重量や筋線維構成に、二足起立姿勢への適用的変化が現われることを明らかにし、その主要因として二足起立に伴う力学的負荷、および筋の抗重力活動の関与と推定したが、その直接的証拠はまだ得ていない。今回はこれらの推定を確認するために、ラットの二足直立姿勢保持時における下肢筋の活動を記録・分析した。 被験動物はSD系雄ラット延べ19頭を用い、バイペダルトレーニングボックスによるオペラント条件づけを利用して、二足起立レバ-押し上げ行動を学習させた。被験筋は浅殿筋、大腿筋、膜張筋、中殿筋、小殿筋、大腿方形筋、外側広筋、内側広筋、大腿直筋、内転筋、半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、ヒラメ筋,腓腹筋、固有背筋の16筋であった。各個体2〜3の被験筋にワイヤ電極を刺入し、電極の位置を電気刺激により確認したのち、バイペダルトレーニングボックスに入れて、動物が二足立位とレバ-押し、中腰、座位、四足歩行の各姿勢、行動をとった時のEMGを記録した。レバ-にはスイッチをつけ、押し上げのタイミングを電気的シグナルとして記録した。筋活動と姿勢・行動を照合するために、動物を側面からビデオ撮影した。ビデオ画像とEMG、レバ-シグナルの同期には発光ダイオードを用いた。これらの電位信号はすべてデータレコーダに収録し、再生後、2KHZでAD変換し、パーソナルコンピュータに取り込んだ。 現在、実験はほぼ終了し、得られたデータの分析に入っている。
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