リンドウの根に多く含有するゲンチオピクロシドは生薬として貴重である。ここでは野生型のアグロバクテリウム・リゾジェネスを感染させ毛状根を誘導し、形質転換体を作出するとともに、毛状根のin vitro培養によりゲンチオピクロシドの大量生産が可能かどうかを検討する。 平成7年度は、腋芽培養で得られた植物体の節間や葉柄に1724野生株を感染させ毛状根を得た。毛状根をBAP2.0mg/lとNAA0.1mg/lを添加した1/2MS培地で培養し不定芽を得た。その後、MS固定培地で植物体を得た。 形質転換体であることの確認のためのPCR法を用いてT-DNA遺伝子のうちのrol C遺伝子の検出を行った。その位置は、rolC遺伝子のコーディング領域全長である540bp付近であった。また、この増幅産物とrolC遺伝子とのハイブリダイゼーションの結果、形質転換体のすべてで、実際に植物ゲノム中に取り込まれていることが分かった。 今回得られたリンドウ形質転換体に起きた形質変化のうち、発根能力の増加、矮化、花卉化等は農業用有用な形質と考えられるので育種素材としても利用できそうであった。次年度からは、毛状根から得られたゲンチオピクロシドの生産状況を検討したい。
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