研究概要 |
リンドウの根が生産するセコイリドイド配糖体のゲンチオピクロサイド(Gentiopicroside)は、痛風・解熱などの生薬成分として重要である。Agrobacterium rhizogenes により誘導された毛状根の大量培養系の確立を目指して研究を進めた結果、継代培養による成分の減少は見られるものの、期間的には普通栽培で得られるのに2〜3年を必要とする量が一年以内に生産できることがわかった。 平成8年度は、ゲンチオピクロサイドの前躯体の添加および培養中のサッカロースの濃度の再検討を行った。メバロン酸(Mevalonic acid)は生体内活性イソプレン・ユニットの直接の前駆物質である。そこで、その前駆体を1/2MS培地に0〜100ppmまでを添加して5週間後の毛状根(Op 8系統)についてゲンチオピクロサイドの定量を行った。その結果、1ppm,10ppmではcontrol区より増加し、それ以上ではcontrolと変わらなかった。このことより毛状根内にメバロン酸が取り込まれていることがわかった。したがって、sucrose濃度22.5g/lを1/2MS培地に添加し、メバロン酸を10ppm前後添加することによって毛状根を培養することが、ゲンチオピクロサイドの増量に効果的であった。 平成9年度は、毛状根の膜の透過性を良くするために、Mevadolactonや中間体Loganinなどを添加して、さらに毛状根培養などによるゲンチオピクロサイドの供給を高める研究を行いたい。
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