研究概要 |
平成7年度は,研究計画に基づき種々の要因を考慮に入れた適切な実験計画を組み,カイコの飼育実験を行った。また,これらのカイコを用いて,ビデオカメラ装置とパーソナルコンピュータを用いた営繭行動の三次元測定を行い,得られたデータの整理および解析を行った。データの解析にはグラッフィクスワークステーションを用い,申請者らの開発した3DASBS(三次元グラフィクス営繭行動解析システム)を利用した。その結果,1)時間の経過に伴う吐糸領域の変化,2)蚕体固定位置の移動特性,3)吐糸体形の変化特性,4)繭内部からのカイコの押し広げ行動の特性について数量的な把握ができ,繭形形成過程に対して新たな知見を得ることができた。1)に関しては吐糸領域に楕円体をあてはめ,行動中心からの吐糸領域の大きさを計算することで初めてこの変化を実際に測定することができた。3)に関して,時間の経過に伴う体形の変化を計算することができた。4)については,数品種に対して押し広げ行動の回数の変化および変化の大きさを測定し,品種間の比較を行うことができた。さらに,営繭中の蚕体固定の方向変化の基本モデルとして球面上のFisher分布を仮定し,蚕体の移動特性をモデルのパラメータで表示する試みを行った。また,これに関連したパラメータの統計的推定法についても検討を加えた。その結果,使用に制約はあるが,このモデルにより蚕体移動特性を近似できることが確認できた。
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