本研究では、各地で行われている森林インストラクターの活動の内容を把握し、それぞれどのように機能しているかを明らかにするとともに、機能別に類型化することにより、今後の森林インストラクターの活動の方向性を明らかにしようとした。本年度は森林インストラクターに関わって活動している4つの区分((1)林野庁の森林インストラクター制度、(2)環境庁の国立公園における活動、(3)環境団体による活動、(4)エコツアー等による活動)について全体像を押さえることを中心に研究を進めるとともに、九州および関西で行われているインストラクターの活動状況の把握を行った。 その結果、近年、森林だけでなく自然環境全般に対する関心の高まりからインストラクターの活動が活性化していること、特に、林野庁が実施している森林インストラクター制度は、次第に定着しつつあり、資格認定者の増加、認定者の間の活動交流組織の結成など、インストラクター活動が広がっていることが明らかになった。しかし、一方では、国立公園のビジタ-センター単位に作られている自然教育のボランティア活動の中には停滞するものもみられることを明らかにした。 また、当初想定していたように、各種の制度はそれぞれが別個に活動しており、相互の関連は乏しいことが明らかになった。さらに、インストラクターの活動は、当初想定していたより様々な形態が存在しており、それぞれの活動実態の把握を行い、各インストラクター制度との関連、その役割を整理することが森林を中心とする自然環境の維持管理上必要であることが確認された。しかし、個々のインストラクターは、各種制度の活動に重複している可能性もあり、今後、インストラクターに対する調査が必要であることがわかった。
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