本研究では、各地で行われている森林インストラクターの活動の内容を把握し、それぞれどのように機能しているかを明らかにするとともに、機能別に類型化することにより、今後の森林インストラクターの活動の方向性を明らかにするものである。本年度は林野庁の森林インストラクターの活動およびエコツアー等による案内に関する内容およびその組織について調査を行った。 林野庁が実施している森林インストラクター制度は、次第に定着し資格認定者が増加している。また、認定者の間の活動交流組織が全国で17つ結成されている。これらの組織のうち、九州地域で活動している九州森林インストラクター会の活動について調査を行なった結果、会が森林インストラクター間の相互親睦を深め、案内内容を充実する上で重要な役割を果たしていること、加えて森林インストラクターになることを希望しているメンバーを構成員に含めることにより、森林インストラクターを養成する機能をもっていることが明らかになった。 一方、京都府芦生および鹿児島県屋久島においてエコツアーの案内人活動について調査を行った。その結果、屋久島においては、縄文スギを中心にした登山ガイドの性格が強いことが明らかになった。また、芦生においては、単に現地の道案内にとどまらず、地域の歴史、動植物の説明、自然とのつきあい方などを解説することによりガイド料を得ており、森林内の案内がインストラクターの所得の一つの柱となってきていることが明らかになった。いままで森林インストクラタ-の活動はボランティアを前提に考えがちであったが、調査の結果、インストラクターの所得となる可能性が広がりつつあり、山村における新たな所得源として注目できることを明らかにした。
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