本研究では、各地で行なわれている森林インストラクターの活動の内容を把握し、それぞれどのように機能しているかを明らかにするとともに、機能別に類型化することにより、今後の森林インストラクターの活動の方向性を明らかにするものである。本年度は平成7、8年度に行った調査の補足調査、とりまとめを中心に研究を行った。 自然解説者の養成のために、国、都道府県、各団体が資格制度を作っている。もっとも人数の多いのは、自然保護協会が行っている自然観察指導員であり、その他に自然公園の管理を目的とした自然公園指導員や国立公園パークボランティアなどがある。また、自然が残っている一部の地域では、エコツアーが盛んに行われるようになり、その中で解説活動が重要な意味をもつようになってきている。このような中、平成3年度にできた森林インストラクター制度により森林の案内や野外活動の指導者が森林に関わる仕事をしていた人たちを中心に養成されてきた。活動を通して山村及び林業の活性化をはかることを目的に制度が期待されている。しかし、未だ発展過程であり、解説活動の中における森林インストラクターの機能は明確になっているとはいえないことが明らかになった。森林インストラクターの活動は、当面、森林教室などの森林・林業の関係した解説活動を中心とすると考えられている。今後、森林の公益的な機能が重視されている現在の状況が続くならば、自然の代表である森林を通して、地域並びに地球レベルの自然環境を含めた問題について、森林インストラクターが解説することを求められるであろう。また、解説を求める人たちの要望も多様化しており、森林教室だけでなく、様々な解説活動を行うことが求められるであろう。
|