平成8年度は平成7年度に引き続き、北海道を中心に統計資料の収集ならびに実態調査を行った。 北海道では平成5年度にファームコントラクターに関する全道的調査を行っている。調査報告によれば、回答のあった100件あまりのうち、稲作の集団作業、酪農ヘルパー、施設・機械の共同利用が約8割を占めている。また、組織の形態としては、任意組合が同じく8割を占めている。このことから、ある程度の請負規模を確保できると思われる北海道でさえ、作業の受託のみで企業的な経営ができる狭義のファーム・コントラクターの確立をみていないのが現状といえる。しかし、十勝地域ではコントラクターを専門とする株式会社・有限会社も少数ではあるがみられることから、さらにその成立条件に関する個別調査が必要と考えられる。 一方、大規模生産組織に関しては、北海道網走市などで引き続き実態調査を行った。これら生産組織は同一地域内における法人経営と比較しても、経営組織・財務ともに優れた内容をもつものが数多く見受けられたが、依然として任意組合の枠を脱しきれていない。野菜作の導入や高所得化による個別経営への分解の危機を孕むなかで、地域農業および農家全体の発展のためには、農家間の一層の協力を必要とする。そのためには、既存の生産組織から新しい組織への展開も必要となろう。一気に組織全体を法人化することは困難だとしても、園芸部門や畜産部門などの生産部門、または機械利用部門などの一部の法人化をとおして段階的な企業化を進めていくことも可能であると考えられる。
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