グルタチオン生成の律速段階としての位置を占め、酸化的ストレスからの細胞保護において重要な役割を果たすシスチン・グルタミン酸交換輸送担体の構造、機能的特徴、発現の組織分布を明らかにするために、Xenopus卵母細胞発現系を用いた発現クローニングを前年度に引き続き継続した。前年度の研究で作製した培養マクロファージ細胞株J774A.1のcDNAライブラリーを、約500クローンを含むグループに分け、それからcDNAを合成し、Xenopus卵母細胞に発現させて^<14>C-シスチンの取り込みを指標にスクリーニングを行ったが、有意にシスチンの取り込みを亢進させるグループは検出できなかった。そこで、よりシスチン・グルタミン酸交換輸送活性の高い細胞株の検討を行い、マレイン酸ジエチル処理マウスマクロファージ細胞株RAWのpoly(A)^+RNAがXenopus卵母細胞に対照の1.5〜3倍のシスチン取り込みを亢進させることがわかった。このシスチン取り込みは、Na^+非依存性であり、グルタミン酸、アミノアジピン酸によって抑制され、アスパラギン酸によって抑制されないことからシスチン・グルタミン酸交換輸送体を介するものであると結論された。この細胞株から、抽出したpoly(A)^+RNAを分取用ゲル電気泳動により分画を行い、Xenopus卵母細胞に発現させることにより1.85-2.35kbに、^<14>C-シスチンの取り込み活性の高い画分が存在することがわかった。これで前年度より、狭いサイズ画分が得られ、この画分よりcDNAを合成し、プラスミドpSPORTIにライゲートすることにより発現プラスミドライブラリーを作製した。一次スクリーニングで、17グループ(8500クローン)のスクリーニングを行い、Xenopus卵母細胞に発現させシスチンの取り込みを亢進させるグループを得た。二次、三次スクリーニングを続行し、報告書作成時点で最終スクリーニングが進行中である。
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