研究概要 |
本年度は当初の計画に基づき研究を実施,以下の結果を得た。 1)コホートの設定とベース・ライン調査 A県の長寿フォローアップ研究の対象4市町村において,対象地域の40歳以上の国民健康保険加入者30,386人としてベースライン調査を実施した。有効回答数(率)は,14,940(49.2%)であった。調査項目は,生活の質および効用,保健および福祉サービスの利用状況を用いた。また,このコホートに対して,医療費のデータとして,国民健康保険レセプトのデータベースを用い,ベースライン調査結果とのレコード・リンケージを実施した。 2)効用による生活の質の評価 生活の質の指標として効用(ultility)を用い,性,年齢,地域別に比較検討を行った。効用値(死亡を0,健康を1)は,70歳以上の高齢者で低下し,また男女間差を認めた。地域別には,ほとんど差を認めなかった。また,生活の質の構造を因子分析により検討した結果,効用と他の指標(幸福感,多属性の健康状態)との相互関連性を認めた。また,多属性の生活の質においても,その水準の低下と年齢との関連を認めた。 3)生活の質の測定法の妥当性の評価 生活の質(効用)の測定法として,世界的に広く用いられているEuroQOL(York大学)および多属性効用調査票(McMaster大学)を用い検討を行った結果,諸外国の調査結果と良く一致しており,また,地域調査(評点尺度)による測定結果とも相関が認められた。
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