研究概要 |
地域住民を対象とした生活の質を多属性効用指標により測定した。測定方法としては,国際的に標準化が試みられているMcMaster多属性効用指標を用いた。その結果,以下の結論が得られた。 1)正式な効用指標調査により各属性の効用レベルを見ると,感覚では視力に低下が認められた。また,移動,手指機能では効用レベルの低下はほとんど認められなかったが,感情,認知能力,疼痛では低下が認められた。この結果は,女性の調査結果とも一致していた。 2)簡易の効用指標調査により,各属性の効用レベルを見ると,上記と同様に,感覚では視力に低下が認められた。また,移動,手指機能では効用レベルの低下はほとんど認められなかったが,感情,認知能力,疼痛では低下が認められた。この結果は,女性の調査結果とも一致していた。 3)多属性効用指標の調査結果から,効用値関数により効用値を算出すると,男女の値は,40歳-60歳代で0.61,0.60,さらに65歳以上で0.60,0.56を示した。これらの値は,評点尺度による効用値とほぼ一致していた。 以上の結果から,多属性効用による生活の質の評価は有効と考えられ,しかも単一の効用値が推定できた。その妥当性および信頼性については,さらに今後,諸要因の検討が必要と考えられた。
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