研究概要 |
C型慢性肝炎(CHC)では、B型慢性肝炎(CHB)に比し高γグロブリン血症を呈する症例が多いことが判明している.CHCにおける高γグロブリン血症に関わるB細胞機能を明らかにするため,CHCの末梢血単核球(PBMC)のIgG産生量および免疫グロブリン産生細胞数についてCHB、健常人(NC)と比較検討した.PBMCのIgG産生量の検討は臨床病理学的に診断されたCHC20例,CHB10例、NC10例を対象とし,末梢血PBMCを10%FBS加RPMI1640培養液で1×10^6/mlの濃度に調整,10μg/mlのPWM添加および無添加の2群に分け6日間培養し,上清中のIgG量をELISA法で測定した.免疫グロブリン産生細胞数測定はCHC65例、CHB30例、NC20例を対象に,Granowicz and CunninghamらのProteinAプラーク法によるPBMC10^6個あたりのプラーク形成細胞数として測定した.その結果,PWM非刺激下のPBMCのIgG産生量はCHC群(p<0.001),CHB群(p<0.05)ともにNC群より有意に高く,CHC群ではCHB群より有意に高値を示したが(p<0.001),PWM刺激下のIgG産生は各群間で差はなかった.CHC群の臨床データとの比較では,PWM非刺激下のIgG産生量は血清IgG、ALT値、年齢およびHCV-RNA量と関連しなかったが,自己免疫性肝炎(AIH)の診断基準を満たすC-AIH群のPWM非刺激下IgG産生量は通常のCHC群に比して高値であった(p<0.05).C-AIH群を除いたCHC群もCHB群よりIgG産生量が有意に高値で(p<0.05),CHC群の免疫グロブリン産生細胞数は,IgG,IgA,IgMのいずれもCHB群に比し有意に増加した(p<001)。
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