研究概要 |
1)伊東細胞の培養を3〜4種の方法で試みた。技術的な点から、その中で結果的に大井手等の方法を改変して行った。平成8年度はこの方法を検討したが、今後はさらに種々改良を加える予定である。 2)伊東細胞の分離・培養は、体重300g前後のWistar系雌性ラットにまずビタミンA20万単位を皮下注し、2週後麻酔下に開腹し、経門脈的にCa^<++>・Mg^<++> free Hanks液を40ml/分の割合で灌流して脱血し、次いで0.05%collagenase溶液を25ml/分の割合で7分間灌流した後肝を摘出し、細切した後に、二重ナイロンガーゼで濾過し、Hanks液で数回遠沈した後、非実質細胞浮遊液を、7%・13%・18%の三重Metrizamideに重層し、20℃で1,000×g,20分間比重遠沈し、最上層を採取した。培養にはL-15倍養液を用いた。胞体内に多数の脂肪滴を有するものを伊東細胞とした。 3)その伊東細胞を用いて、血管作動物質の基本薬としてのpropranolol(PPL)に対してどのように変化するかを観察した。PPLの濃度は1mg/100ml,2mg/100mlで検討した。 4)伊東細胞の細胞形態変化は、分離直後にPPLをアプローチしたところ、いずれの濃度でも、位相差顕微鏡による観察では、カルチャーディシュに生着した細胞では胞体の拡大伸展が観察された。 5)さらなる血管作動物質としてラット実験で使用し効果の認められたnitroglycerinを含んだnon-selectiveのβ-blockerであるnipradilol (NPL)に対する伊東細胞の変化を検討した。NPLの濃度は1mg/100ml,2mg/100mlで行なった。細胞変化はPPLと同様に、いずれの濃度でも細胞の胞体の拡大伸展が認められた。 6)伊東細胞の微細な変化を明確にするため、食道静脈瘤の計量診断に応用した画像解析を利用した。即ちPower Macintosh 8500を増設メモリーADM-8M168Sで増設して、画像処理ソフトNIH image及びAdobe Photoshop 3.0Jを用いて、Casio didital camera QV-300で撮影した画像の面積の変化を算出すべく検討している。
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