研究概要 |
ApoEを産生するアストロサイトおよび、その可能性のあるミクログリアについて、サイトカインによるApoE mRNAの発現の調節をマウス大脳由来の培養系にて検索した。方法:ミクログリア、アストロサイトの分離、培養は新生BalbCマウス大脳より行った。この培養系にGM-CSF,TGF-β,IL1-βを投与した(10ng/ml)。1-3日後に細胞をハーベストし、Trizol試薬を使いRNAを分離した。マウスapoE mRNAの発現は、RT-PCR法にて行った。結果:ミクログリア:コントロールで、マウスApoE mRNAの軽度の発現がみられたが、GM-CSF,TGF-βが1日後にApoE mRNAをupregulateした。IL1-βはdownregulateし、発現が抑制された。アストロサイト:マウスApoE mRNAはコントロールではみられなかったが、1-3日後にTGF-βによりupregulateされ、IL1-βは1日後には作用がみられなかったが、3日後にはupregulateした。考察:ミクログリアのapoEmRNAの発現の調節アストロサイトはGM-CSF,TGF-β、IL1-βを産生し、ミクログリアに作用して、上記の反応をおこしうると思われるが、各サイトカインの相互作用の検索も重要となる。アストロサイトのapoE mRNAの発現の調節:TGF-βのapoE mRNAの発現の増強は、TGF-βがapoE mRNAの発現の増強を介してアルツハイマー病の病理発生に関与している可能性を示唆する。しかしながら、この作用が、防御的に作用しているのか、病変の悪化に関連しているかは、今後のさらなる検討を要する。
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