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1996 年度 実績報告書

SCIDマウスへ移植したヒト皮膚を用いる発癌実験

研究課題

研究課題/領域番号 07670937
研究機関信州大学

研究代表者

斎田 俊明  信州大学, 医学部, 教授 (10010381)

研究分担者 土肥 庄二郎  信州大学, 医学部, 助手 (10252090)
徳田 安孝  信州大学, 医学部, 助手
キーワード発癌実験 / ヒト皮膚 / in vivo実験系 / SCIDマウス / 異種移植 / 前癌病変
研究概要

前年度までの研究により、ヒトの正常皮膚および前癌病変皮膚を植皮するレシピエントのSCIDマウスとしてはbeige-scidマウス(scidマウスとbeigeマウスを交配して作出)が最も優れていることが明らかにされた。そこで本年度はこのbeige-scidマウスの背部にヒト皮膚を全層植皮の要領で移植し、生着後これに発癌操作を加え、癌の発生、進展がみられるか否かを検討した。移植したヒト皮膚は正常皮膚9検体、Bowen病7検体、日光角化症2検体、乳房外Paget病1検体、悪性黒色腫色素斑部1検体の計10検体である。これらの移植片に化学発癌剤であるDMBA(7,12-dimethylbenz (a) anthracene)を1回100nmol、週1回塗布し、さらに波長302nmの中波長紫外線(UVB)を12500J/m^2/日、週5日間照射した。以上の発癌操作を10-20週間継続実施した。しかし、このような発癌操作によって肉眼的にはっきりした皮膚癌の発生や進展の所見を示した検体は認められなかった。病理組織学的にもはっきりした癌の発生、進展を示したものはなかったが、正常皮膚やBowen病、日光角化症の一部の検体において表皮の基底層部からその数層上にまで異型ケラチノサイトが見出された。乳房外Paget病の検体でもPaget細胞は消失していたが、表皮下層部に異型ケラチノサイトの蕾状増殖が見出された。また、悪性黒色腫色素斑部では表皮内にメラノサイトの個別性増加が認められたが、核異型ははっきりせず、melanoma in situと確診することはできなかった。以上の結果より、ヒト皮膚はマウス皮膚のようには容易に癌を生じないことが明らかにされた。しかし、一部の検体で表皮内に異型細胞の増殖がみられたので、この細胞の癌遺伝子が癌抑制遺伝子などの変異につき現在解析を進めている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Takizawa,Y.,Saida,T.et al: "Engraftment of Precursor lesions of human cutanious neoplasms cnto C.B-17 SCID mice" Arch Dermatol Res. 287. 237-341 (1995)

  • [文献書誌] 上山義人,斎田俊明: "ヒト皮膚・頭髪in vivo実験系の開発" 臨床皮膚科. 49(増). 83-86 (1995)

  • [文献書誌] Takizawa,Y.,Saida,T,et al: "New immunodeficient (nnde-siid,beige-scid) mice as excellent recipients of human skin grafts containing intraepidermal malignancies" Arch Dermatol Res. 289(in press). (1997)

  • [文献書誌] 斎田俊明: "ヒトの皮膚・頭髪研究へのSCIDマウスの有用性" 日本疾患モデル学会記録誌. (印刷中). (1997)

  • [文献書誌] 斎田俊明,他: "SCID疾患モデル研究(安部千之 編)" 日本医学館(印刷中), (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2015-05-22  

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