研究概要 |
平成7年度は磁気共鳴撮像法を用いて拡散テンソル画像を作成する場合の基本となるMR画像撮像法について検討した。撮像装置としては1.5テラス超伝導型撮像装置(Magnetom Vision, Siemens A/G)を使用した。画像データを高速に記録する必要があるために、個々の撮像が秒単位あるいはミリ秒単位で施行可能なものとして、エコープラナー型撮像法(echo planar imaging, EPI)を基本パルス系列とした。このパルス系列に拡散情報を抽出するための磁場勾配を追加したパルス系列を作成、主にファントムを用いた画像から、本研究に適した撮像条件を求めた。 種々の撮像条件について検討した結果、90度パルスによる励起後の180度パルスを挟み、拡散強調のための磁場勾配をそれぞれ40msec印加することが必要であり、その至適磁場強度は約4から10mT/mの範囲であることを経験的に確認した。一画像の撮像に要する時間は450msecであり、撮像時間の長さという点については問題はなかった。 ついで健常志願者を用い上記の撮像法を用いて実際に頭部の拡散強調画像を撮像した。得られた画像ではファントム実験で期待されたものと同様の拡散強調効果が大脳白質線維に沿って観察された。現状の撮像法では画像マトリックスサイズが最大でも128x128であり、空間分解能に限界があること、またEPIによる撮像法そのものが空間的な歪みを来たしやすいことなど、画像データについての精度上の問題点が残った。しかしテンソルの計算に必要な三次元的なベクトルデータを得る手段としては、この撮像法がもっとも適しており、今後さらに撮像パルス系列の検討および使用撮像装置自体のハードウェア的な改良と並行させながら、本研究を継続していく予定である。
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