研究概要 |
平成7年度に於て岡山大学医学部倫理委員会で承認され、平成8年度は症例数を増やし研究を行った。初発未投薬及び断薬によって再発した精神分裂病患者(性別を問わず、年齢18-60歳)を対象にして常用量の範囲内で抗精神病薬投与開始前1回、投与開始から1週間後、4週間後、8週間後の計4回にわたって症状評価と採血を行い、血清中の各種免疫学的指標(インターロイキン1、インターロイキン2、可溶性インターロイキン2受容体、インターロイキン6)及びホモバニリン酸を測定する。患者群と年齢・性別比を一致させた健常対照群をも対象にして1回の採血から同様の測定を行う。今回、精神分裂病患者10例、健常対照者14例について血清中のインターロイキン-2可溶性受容体(IL-2sRa)を測定した。患者群は全員断薬により再発5例または初発未投薬の状態で受診した5症例で健常対照者とは性、年齢を一致させた。抗精神病薬投薬開始前、投薬開始から1週間目、4週間目、8週間目の計4回各5mlずつ採血した。投薬は種類、量を特に制限せずに日常臨床の範囲内でおこなった。血清中のIL-2sRa値は健常対照者に比べて分裂病の服薬前で有意に増加していた。服薬開始後も有意な増加は持続し、投与から1週間、4週間、8週間の間で特に有意差はなかった。各採血時BPRS,PANSSによる症状評価を行ったが、血清中のIL-2sRa値との間に有意な相関関係はなかった。しかし服薬1週間後の血清中のIL-2sRa値と発症年齢との間には負の相関関係の傾向(p=0.06)が認められた。
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