本研究の目的は、神経芽腫におけるアポトーシスの出現至適条件を解明することにある。今年度は再現性の高いinvivo実験系の確率をめざして以下の項目について検討した。 1.肝部分切除後の肝再生:A/jマウス8週齢雌性に全身麻酔下に肝左葉を施行した後、肝の再生速度を検討した。再生速度は肝切除後4日までに最大となった。 2.肝部分切除後の肝内腫瘍増殖:マウス尾静脈より静注移植して作成した肝転移は、肝切除により有意に抑制された。 3.肝切除時期による肝内腫瘍増殖:経時的にみると、腫瘍移植2日前肝切除群では肝切除は影響せず、腫瘍移植3日前及び、腫瘍移植1、3日後肝切除群では腫瘍増殖抑制が見られた。 4.肝部分切除後の大腿部皮下腫瘍増殖:腫瘍細胞5×105個筋肉内移植により作成した大退部皮下腫瘍に対しては、肝切除の影響は観察されなかった。 5.肝部分切除後の腹壁皮下腫瘍増殖:腫瘍細胞102個腹壁皮下移植により作成した大退部皮下腫瘍に対しては、初期に腫瘍抑制がみられた。 以上の結果より、腫瘍増殖抑制の実験系として、肝内腫瘍としては、腫瘍移植3日前肝切除あるいは、移植後肝切除群が最適と考えた。免疫組織化学的にDNA末端を証明するNick法によるアポトーシスの出現を現在定量中である。又、その腫瘍抑制効果は、肝内のみに留まらず、皮下腫瘍にも影響を及ぼしたことから、肝分画液性因子の解析を開始した。特にhepatocyte growth factorについては、C-1300腫瘍invivo培養系でcolony forming assayを施行している。
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