研究概要 |
肝切除後の肝再生は、肝切除後の残存腫瘍増殖、転移出現など臨床面で重要な研究領域である。最終年度にあたる今年度は、肝切除後の放出されるサイトカインの抗腫瘍効果に着目し検討した。 [方法及び材料]in vitro murine neuroblastomaを用い、各種サイトカインによる抗腫瘍効果を検討するために、肝再生期に放出されるHGF,TGFα,TGFβ,EGF,Activin Aをin vitro培養液に添加し、MTTassayを施行した。 培養期間は昨年度施行した5日間より短期の3日間とし、再生時のサイトカイン放出期間に沿うものとした。更に、これら培養液の腫瘍細胞をA/Jマウス7週齢雌性マウスに静注移植し、in vivo liver colony assay施行した。 [結果]HGF,TGFα,EGF,は暴露時間は3日間では変化がなかったが、TGFβでは10ng/ml以上の濃度で腫瘍増殖抑制効果が観察された。さらにActivin Aは、著明な抑制効果をdose-dependentに示した。in vivo liver colonyにおいてもActivin Aは著明な抑制効果を呈した。 これらサイトカインの抗腫瘍効果は注目すべき現象で、それぞれの転移臓器における腫瘍細胞と臓器内皮細胞あるいは間質細胞の相互作用により、腫瘍の増殖・退縮のメカニズムが作働する可能性が示唆された。
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