研究課題/領域番号 |
07671521
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
伊達 勲 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (70236785)
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研究分担者 |
吉田 秀行 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
古田 知久 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (30181457)
浅利 正二 岡山大学, 医療技術・短期大学部, 教授 (40175857)
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キーワード | パーキンソン病 / 神経移植 / カプセル化細胞 |
研究概要 |
ラット副腎髄質褐色細胞腫由来のドパミン産生細胞株であるPC12細胞は、ヒトにとっては異種細胞であり、また腫瘍細胞であるため、これを移植のドナーとして用いる為には、カプセル化が必要である。PC12細胞を培養し、1X10^7個/mlの濃度でカプセル内に封入した。宿主のサルには左側の内頚動脈にMPTP(ドパミン神経に対する神経毒)を注入して、片側パーキンソン病モデルとした。左側の線条体内にカプセル化PC12細胞を移植し、移植1カ月、6カ月、12カ月後に屠殺した。カプセルにはシリコンのtetherを付着し、必要に応じていつでも脳外に取り出すことができるようにしておいた。宿主には免疫抑制剤は投与しなかった。カプセルからのドパミンおよびL-ドパ産生量は移植12カ月後も充分量が保たれており、組織学的にも移植12カ月後のカプセル内に多数のPC12細胞が生着していた。宿主脳内には移植細胞の腫瘍化や免疫学的拒絶反応は全く認められなかった。カプセル化PC12細胞を移植されたサルは、右手の運動機能の向上が認められ、この効果は移植12カ月後まで持続した。以上のような霊長類での検討から、本移植法は安全かつ効果的なパーキンソン病治療の一つとなりうると考えられる。我々は、これまで行ってきた数百例のパーキンソン病に対する定位脳手術にこのカプセル化細胞脳内移植を組み合わせていきたいと考えている。すなわち、振戦・固縮を主症状とする患者に対しては視床破壊術を行い、同時に線条体内にカプセル化PC12細胞を移植し、無動を主症状とする患者に対しては淡蒼球破壊術を行い、同時に線条体内にカプセル化PC12細胞を移植する。この方法によって視床破壊術あるいは淡蒼球破壊術後に患者が内服するL-ドパ量を減少させることが期待でき、ひいてはL-ドパ長期投与による副作用を軽減させることになると考えられる。
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